
12月1日 土曜日 晴れ
猫に縁側から庭に脱走されて肝を冷やした十二月の始まり。
僕から見れば脱走という表現になるが、約一年振りの土の感触と草木の匂いはさぞかし彼女にとって懐かしく、新鮮に感じただろう。もともと生後約半年は野生の世界で生き抜いてきたのだから。
しかしながら庭に下りて喜んでいる姿を微笑ましく眺められるわけもなく、どうしたものかと息を呑む。平静を装っていつものように名前を呼んで一歩二歩と近づいてみると、案の定、僕からの距離を保つようにカサコソ離れた。パッと捕まえるのにチャレンジするにはまだ遠い。道路に飛び出されるのはどうしても避けたいと暫く知らんぷりをしてみたが、どうにも此方の気が伝わるのか、ブロック塀に逃げるか道路方面に逃げるかを考えているような素振り。ここで家人を呼べばかえって捕まえ難くなるだろうと助っ人してもらうのは諦め、ゆっくり時間をかけてじりじりじりと手の届きそうな距離まで近づいた。ここで一か八かの尻尾掴み。今までにない程の威嚇のシャーと唸り声を受けながら右の手のひらをガブリとひと咬みされると同時に太腿を暴れる足の爪で引っ掻かれてズボンが裂かれ、両脇を掴めないままに逃げられてしまった。しまったと思ったものの、猫が逃げた方向は予想に反して家の中だった。
約一年の家の暮らしのなかで、外よりも家の中が安全と認識してくれていたのか否かは知る由もないけれども、兎に角ホッとする結果に。
僅か数分足らずのことだったように思うが、ほんとうに長く感じる時間だった。
家に入った後の猫の僕に対する反応が敵対心や恐怖心をもたないかと心配だったが、これも予想に反していつも通り。
外にいる僕と、家の中にいる僕とは別人と思っているのかもしれない。
posted by ryuuki at 23:59|
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ウチのネコ
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